光によって活性化されるとイオンを受動輸送する膜タンパク質「チャネルロドプシン」が緑藻より発見されてから23年、「光遺伝学」という言葉が生まれ神経科学分野に新たな技術が持ち込まれてから19年、光遺伝学技術は驚くほどの広がりを見せ、我々が光操作可能な生命現象は日々拡張されている。我々はこれまで、様々な性質を持つチャネルロドプシンを自然界より発見し、その立体構造を明らかにし、分子メカニズムを解明した上でタンパク質を改変することにより、多くの新規光遺伝学ツールを開発してきた(Kato et al., Nature, 2012, 2015, 2018a, 2018b; Marshel et al ., Science, 2019; Kishi et al., Cell, 2022; Tajima et al., Cell, 2023など)。ここでは、これまでの光遺伝学研究の流れを概説するとともに、発表者らの最新の知見を紹介し、当該分野の今後の方向性について議論したい。