薬理学は、生体機能や病態・病因の理解を目指したサイエンスと、新しい予防・治療法の開発を目指したエンジニアリングの両者の側面を有する学術領域である。この両輪を上手く回すためには、異分野融合によるアプローチが必須と考えられる。我々は、脳機能を理解し、神経疾患や精神疾患などの病態を理解し、これら疾患に対する新しい治療法を開発することで、医療を発展させることを目指している。 動物は、感覚器官を通して得た周囲の環境情報を統合し、状況に応じて適切な行動を選択する。特にヒトを含む哺乳類において、多くの行動判断は視覚系から得られる情報に依存しており、視覚が障害されると我々のQuality of Lifeは著しく低下する。本セミナーでは、視覚情報と運動情報の統合メカニズムの解明と、ヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の再生医療等製品開発についての取り組みについて紹介する。