9月24日
14:30～16:00

福田 慎一
筑波大学 医学医療系 先端視覚医学 准教授

ダイレクトリプログラミングを用いた網膜神経 / 視神経の再生

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招待コメンテーター

鈴木 淳史 教授
　九州大学 生体防御医学研究所 器官発生再生学分野  

貞廣 威太郎 助教
　慶應義塾大学 医学部 循環器内科学教室  

眼球と脳を繋ぐ網膜神経節細胞/視神経（網膜神経節細胞の軸索）が障害を受ける緑内障や外傷性視神経症は、失明につながる重篤な疾患です。一度死んだ神経は回復させることが出来ないため、再生医療の登場が期待されています。魚やイモリなどでは、多能性幹細胞の段階を経ずに直接的に目的の細胞に分化を転換するダイレクトリプログラミング法を用いて、網膜の構成細胞の一つであるミュラーグリア細胞から網膜神経節細胞へ分化・再生させることができます。しかし、哺乳動物ではこの経路が遮断されていると考えられていました。近年、幼若なマウスでダイレクトリプログラミングにより網膜神経節細胞などの神経細胞に分化させられることが報告されましたが、老化した細胞ではリプログラミング効率が落ちる事が知られており、高齢なマウスでの成功例はありません。また、霊長類は齧歯類と比べ圧倒的にリプログラミングが起きづらいと考えられており、脳神経領域も含め霊長類で神経へのダイレクトリプログラミングに成功した報告はありません。私達は、これまでのイメージング・老化・再生医療の研究の経験を活かし高齢なマウスやカニクイザルでの網膜神経節細胞の再生に成功しました。ダイレクトリプログラミングを用いた緑内障や外傷性視神経症の新規治療法開発の可能性についてお話しさせて頂きたいと思います。

福田 慎一 
筑波大学 医学医療系 先端視覚医学 准教授

2013年筑波大学大学院人間総合科学研究科・疾患制御医学博士課程修了（博士 (医学)）。筑波大学医学医療系眼科講師（2013-2015）、米国ケンタッキー大学/バージニア大学Postdoctoral fellow（2015-2016）、米国バージニア大学Assistant Professor（2018-2019）、筑波大学医学医療系眼科准教授（2019-2024）を経て2024年4月より現職。JST-創発的研究支援事業研究者、JST-CREST 主たる研究分担者。眼科医として臨床を行うと共に、イメージング・老化・再生医療の研究を融合させて、ダイレクトリプログラミングを用いた神経の再生を目指し研究活動を展開。