9月27日
16:00～17:30

高橋 宗知 
東京大学 医学部医学科４年生

T細胞クローン追跡技術を用いた免疫学の
​ダイナミックな理解を目指して

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招待コメンテーター

岩波 翔也 助教
名古屋大学 大学院理学研究科 理学専攻 異分野融合生物学研究室　 

分子生物学が導入されて以来、免疫学は飛躍的に発展してきました。免疫学における新しい知見の増加は、結果的に私たちの健康を向上させてきました。と同時に、そうした断片的な情報がどれだけ蓄積されても、個々の反応が複雑に組み合わさった結果としての免疫システムが、生体内で実際にどのように機能するのか、といった全体的な理解にはなかなかつながらないことも明らかになりつつあります。
そうした統合的な理解を妨げる一つの要因は、現在の研究手法が、特定の時間軸に固定された静的な「スナップショット」データに、過度に依存していることです。生物学的プロセスは本来、動的な過程であり、その理解には動的システムに適したデータと説明手法が必要なはずです。このセミナーでは、免疫学の歴史を背景に、獲得免疫の生体内動態を分析する私たちのT細胞クローン追跡技術と、その分析手法を癌免疫の局面に適用した場合の結果を紹介します。現在の免疫学の解析手法が、予見可能な免疫システムの動的理解に向けて、どのように利用できるかを議論できればと思います。

高橋 宗知 
東京大学　医学部医学科４年生

2021年ケンブリッジ大学・情報科学科卒業。現在は東京大学医学部医学科在学中。東京大学在学中、理論的なコンピューター科学を学ぶためにケンブリッジ大学に留学。そこで、造血幹細胞の動態モデリングや免疫細胞の増殖メカニズム解明の研究に携わり、数本論文を執筆。帰国後、ケンブリッジ大学での研究を続けながら、国内の研究室とともに生体内の免疫細胞動態の解明を目指す研究を行っている。