Large Mafファミリーの転写因子MAFBは、多様な組織で細胞の最終分化に必要である。マクロファージの多様性は、病態によるサイトカインシグナル、脂質、コレステロールなどの組織環境や発生由来となる細胞といった多次元的な制御に依存し、その多様な機能は未解明である。約20年にわたるMAFB欠損マウスを用いた研究から、マクロファージにおけるMAFBは動脈硬化、自己免疫疾患、腫瘍増殖、虚血性疾患、骨代謝などで生体の恒常性維持機能に必須であることがわかってきた。寒冷刺激や飢餓時の環境適応では、MAFBがマクロファージの交感神経系調節を介したエネルギー代謝に重要な役割を担っており、本セミナーではこれらの最新の研究成果を紹介する。