12月10日
​17:00～18:30

小渕　智之 
​京都大学 大学院情報学研究科 
システム科学専攻・システム構成論講座・適応システム論分野 准教授

関係性の有無を簡単な統計モデルで判断して良いのか？
​：逆イジング問題を雛形とした統計力学的アプローチ

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招待コメンテーター

樺島 祥介 教授
東京大学 大学院理学研究科 物理学専攻 知の物理学研究センター 

　郡　宏　教授　
​東京大学 大学院新領域創成科学研究科  複雑理工学専攻

寺前　順之介　准教授
 京都大学 大学院情報学研究科・先端数理科学専攻

豊泉　太郎　チームリーダー
 理化学研究所 脳神経科学研究センター 数理脳科学研究チーム

データ生成過程が自明でないとき，線形モデルのような簡単な統計モデルでとりあえず解析するということは実際多い．これに仮説検定やスパース正則化の手法を応用すれば重要な変数の選択も可能である．しかし，誤っていることがほぼ確実な統計モデルを利用した変数選択は本当に信頼できるのだろうか？本講演では，逆イジング問題(ボルツマンマシン学習)を雛形として，演者らがこの問を考察した結果を紹介する．逆イジング問題とは，バイナリ変数が非線形な相互作用をしているモデル(イジングモデル)の相互作用変数を，データ(=バイナリ変数の列)から当てる問題である．このデータにあえて線形回帰を適用し結合推定を行った．その推定精度を統計力学的手法で解析した結果，上述の問いに対する肯定的な答えが得られたばかりでなく，変数の有無に関する推定精度は，より適切な統計モデルを用いた場合と遜色ないということが明らかとなった．講演では，これらの結果を概観すると共にデータ解析におけるその帰結を議論したい．

小渕　智之
京都大学 大学院情報研究科 ​
​システム科学専攻・システム構成論講座・適応システム論分野　准教授​

博士（理学）．2005年 東京工業大学 理学部 物理学科卒業．2008年から日本学術振興会特別研究員（DC2）．2010年 東京工業大学 理工学研究科 物性物理学専攻 博士課程修了．同年4月より大阪大学博士研究員．2012年4月より日本学術振興会特別研究員（PD），同時期にパリ高等師範学校にて博士研究員．2013年9月より東京工業大学 総合理工学研究科 知能システム科学専攻にて助教．2019年12月より京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻にて准教授．学生時代より，特定領域「情報統計力学の深化と展開」や新学術領域「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」などでの活動を通じ，情報科学への統計力学的なアプローチの研究を行っている．