4月18日
15:30～17:00

丹羽 隆介
筑波大学 生存ダイナミクス研究センター 生理遺伝学研究プロジェクト 教授

​寄生蜂毒：宿主を巧みに操る物質の作用機序と進化

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招待コメンテーター

荒川 和晴 教授・所長
　慶應義塾大学 先端生命科学研究所  

地球上には多くの寄生生物が存在する。その中でも、ハチ目昆虫である寄生蜂は、175万種とされる現生生物の種数の中でも20〜30万種を占めるとも推計され、多様性において最も繁栄した生物群の一つである。寄生蜂の繁栄を支える基盤は、宿主の発生や免疫、さらには行動をも巧みに操作する毒である。しかしながら、生活環の特殊性や試料サイズの小ささにより、寄生蜂の毒の作用の分子メカニズムの研究は未だ大きく立ち後れている。このような中で我々は、遺伝学に優れたDrosophila属ショウジョウバエと、これを宿主とするAsobara属寄生蜂を用いて、寄生に必要な毒成分の同定と機能解明を目指している。本発表では、比較ゲノム解析、マルチオミクス解析、および分子遺伝学的手法を用いたアプローチから見えてきた毒が支える寄生戦略の一端を紹介し、さらにこの知見の応用面への波及の可能性を議論したい。

丹羽 隆介 
筑波大学 生存ダイナミクス研究センター 生理遺伝学研究プロジェクト 教授

2002年、京都大学大学院理学研究科修了。JSPS特別研究員DC1（京都大学）、JSPS特別研究員SPD（東京大学）、HFSP長期フェロー（Yale University）を経て、2008年より筑波大学大学院生命環境科学研究科助教（テニュアトラック）として独立。2012年同生命環境系准教授（テニュア取得）、同年さきがけ研究者を経て、2019年より現職。ショウジョウバエと寄生蜂を主材料として、神経とホルモンを介した臓器連環による生殖・発生・代謝・寄生・病態の制御システムに関心を持って研究している。JSPS学術システム研究センター専門研究員、日本発生生物学会理事、日本農薬学会評議員、International Insect Hormone Workshop組織委員。