須田 年生 機構長・卓越教授 熊本大学 国際先端医学研究機構 National University of Singapore, Cancer Science Institute Senior Principal Investigator・Professor
依馬 秀夫 教授 中国医科学院血液学研究所
山本 玲特定准教授 京都大学高等研究院 ヒト生物学高等研究院(ASHBi)
造血幹細胞は多分化能と自己複製能を持つ組織幹細胞である。造血幹細胞は不均一な細胞集団であり、産生する成熟した血球細胞の違いから骨髄球偏向型、リンパ球偏向型、巨核球偏向型、バランス型などの亜集団が存在する。これらの亜集団には階層性があり、巨核球偏向型が頂点であるとされている。しかし、これらの亜集団の階層性や関連性についての理解は進んでいない。またこれらの亜集団がどのように造血の恒常性維持に貢献しているかも不明である。造血幹細胞の亜集団それぞれが得意とする成熟した血液細胞を産生すると想定されるが、亜集団は移植後の産生された血液細胞パターンでしか判断できないため検証は困難である。階層性を見るためには2次移植、亜集団の関連性を見るためには造血幹細胞の分裂パターン解析、さらに亜集団の全貌を知るにはこれらの解析をラージスケールで行う必要がある。そこでこれらの必要性を満たす新しい手法(DNAバーコードと娘細胞ペア解析(Suda et al., 1984)とを組み合わせた解析手法)を考案し、亜集団の分布、階層性、識別マーカーの解明に取り組んでいる。今回は中途ですが研究結果について紹介したいと思います。